過去、現在、未来

 母なる青い星地球をのぞみ、静かに浮かぶ赤い星『火星』。

極冠の氷を溶かし人類の移民計画が始まってから150年。

その地球とは程遠い環境の下に建設されたドーム連結型の都市も、今や急速に発展を遂げる技術革新に過去の遺物となっていた。

人々は更なる自由な環境を求めて街を移動し、赤い大地を緑に覆っていった。

 かつて開発エリアにあった674個ものドームは、今や新都市に隣接するエリアの80足らずが稼動するだけで、それ以外のものは捨て去られ、あるものはスラム化し、あるものは人の住まぬ廃墟と化し、忘れ去られた。

そして、それは地球政府の名の下に行われた開発・移民計画ではあったが,遠く離れたこの地では、その管理はずさんなものだった。




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 そんな朽ち果てた旧都市のドームに一人孤独に取り残された女がいた。

彼女の名前は‘レイチェル’。

彼女は移民計画の初期の頃に連れて来られたレプリカント(人造人間)だった。

 火星開発期。人間には不向きな労働や過酷な環境下での仕事を目して造られた彼女は、当初、その知能は言うまでも無く、その人間をも超える寿命と対する従順さで傑作とまで謳われた。

 しかし、火星の居住環境が整備されて人々の行動に自由と豊かさが獲得されると彼らはより人間に近く、むしろ寿命の面では人よりも短い利便性に優れたレプリカントを求めるようになった。自分よりも寿命が長く、いつ死ぬか分からぬような旧式は忌み嫌われた。

そして、その裏には伸び悩む火星への入植者数も一因となっていた。

 人々は、人間らしさに飢えていた・・・。





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